ギャンブル依存症の回復に取り組む中で、「自分はなぜこんなにも生きづらいのか」と考えるようになりました。
ギャンブルをやめて1年が経っても、人との関係で疲れ切ってしまい遂にはメンタルダウン――休職をきっかけに自分自身と本気で向き合っていたとき、僕はようやく気付きました。
「自分はアダルトチルドレン(AC)なのではないか」と。
ACとは、機能不全の家庭で育ち、大人になってからもその影響で生きづらさを抱える人のことです。
これは病名ではなく、あくまで心理的傾向を示す言葉ですが、その中身を知ったとき、僕の人生の「なぜ?」が1つひとつ解けていきました。
ACとは?その背景にある家庭環境
こうした環境が、ACを生み出す土壌になります。
僕の家庭は両親の中が悪く、どちらかがどちらかの悪口を言っている環境で育ちました。
特に母からは、父だけでなく学校の先生やママ友など、周囲の大人の悪口も日常的に聞かされていました。
また、母と腹違いの兄は毎日のようにケンカをしていて、僕は年子の弟妹を守らなきゃというプレッシャーも感じていました。
結果として、「人の顔色を伺って怒られないように立ち回る」ことが僕の無意識の癖になっていったのです。
大人になって現れた「ACの影」
- 怒られるのが怖くて報告ができない
- 嫌われたくなくて本音を言えない
- 自分に自信がなく、常に人の評価を気にしてしまう
- 他人に合わせてばかりで、疲れ切ってしまう
ギャンブルから離れても、こうした問題は僕の中に残り続けました。
そして、これらの根っこにはアダルトチルドレン的な思考・行動パターンがあることに気付いたのです。
アダルトチルドレンには「タイプ」がある
ACと一口に言っても、その表れ方は人によって様々。以下は代表的なACのタイプです。
タイプ | 特徴 |
ヒーロータイプ | 責任感が強く、優等生を演じて家族を支える。 完璧主義になりやすい。 |
スケープゴートタイプ | 家族の問題を一手に引き受ける「問題児」。 非行や依存に走りやすい。 |
ロストチャイルドタイプ | 存在感を消して、家庭内の争いを避ける。 自己主張が苦手。 |
クラウンタイプ | 笑いや明るさで場を和ませる。 内面には孤独や不安を抱えやすい。 |
ケアテイカータイプ | 他人の世話を焼くことで自分の価値を見出そうとする。 |
僕は「ヒーロータイプ」と「ケアテイカータイプ」の要素が強かったように感じています。
しっかり者でいないと怒られるという思いと、人の機嫌を取って場を収める癖が、ずっと続いていました。
チェックリスト:あなたはACかも?
もしあなたが次の項目に複数当てはまるなら、ACの傾向があるかもしれません。
□他人の評価や顔色を過度に気にしてしまう
□本音を言えない・感情を表現するのが苦手
□自分に自信が持てない
□何事も「完璧に」こなさないと不安
□NOと言えない
□役割を背負いすぎる
□他人の期待に応えないと不安になる
□親や家族との関係がしんどい
□ギャンブルなどで感情を麻痺させていた
□生きている意味が分からなくなることがある
回復に役立った3つのツール
僕自身がACの自覚を持ち、癒やしに繋がったのは以下の3つでした。
- 12ステッププログラム
- 『わたしが「わたし」を助けに行こう』(橋本翔太 著)
- 『君と宇宙を歩くために』(泥ノ田犬彦 著)
12ステッププログラム
依存症の自助グループ(AAやGAなど)で行われている依存症回復プログラムです。
自分の内面を整理する中で、過去の傷や感情に気付けました。
『わたしが「わたし」を助けに行こう』(橋本翔太 著)
インナーチャイルドを癒やす考え方が、深く刺さりました。
『君と宇宙を歩くために』(泥ノ田犬彦 著)
「自分は自分でいい」と肯定される感覚をもらえました。
家族としてできること
もし身近な人がACのような傾向を見せている場合、最も大切なのは「否定しないこと」です。
「気にしすぎだよ」「昔のことじゃないか」と言ってしまうと、本人は心を閉ざしてしまいます。
まずは「話してくれてありがとう」と受け止めるところから始めてください。
相談先と回復への一歩
心の不調を感じたら、以下のような場所に相談することが出来ます。
- 心療内科・精神科
- 地域の依存症相談窓口(精神保健福祉センターなど)
- 自助グループ(ACA、オーバーカムなど)
特に、ACA(アダルト・チルドレン・アノニマス)は、ACの回復を支援する自助グループです。
「自分だけじゃなかった」と思えることが、何よりの回復の一歩になります。
まとめ:気づきから癒やしが始まる
ACであることは、恥ずかしいことではありません。
むしろ、「気づけたこと」が何より大きな一歩です。
ギャンブル依存の背景に、ACの傾向がある人は少なくありません。
僕もその1人として、同じように悩むあなたに伝えたいです。
「一緒に回復していきましょう」と。
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