ギャンブル依存症は、単なる「意志の弱さ」や「だらしなさ」で片づけられる問題ではありません。本人の自覚がないまま進行し、気づけば借金、仕事、家族との関係が壊れている──そんなケースも少なくありません。
この記事では、僕自身の経験をもとに、ギャンブル依存症からの回復に欠かせない「3つの視点」を解説します。
【視点1】医学的視点:ギャンブル依存症は「脳の病気」
ギャンブル依存症は、WHO(世界保健機関)も正式に認める「精神疾患」です。特に脳の報酬系(ドーパミン系)に異常があることが知られており、「勝ったときの快感」が脳に強く刻み込まれて、何度でも繰り返そうとしてしまいます。
日本精神神経学会の診断基準でも、
- やめたくてもやめられない
- 借金してまでやってしまう
- 家族や仕事に悪影響を及ぼす
といった特徴が挙げられています。
⇒治療が必要な病気であることをまず受け入れることが、回復の第一歩です。

【視点2】心理的視点:生きづらさの背景にある「心の問題」
ギャンブルにのめり込む背景には、強いストレスや心の空虚感が隠れていることがあります。僕自身も、アダルトチルドレンであることが影響していました。
常に親の顔色を伺い、自分の感情を押し殺して生きてきた結果、「自分が何をしたいのか」が分からなくなっていました。
ギャンブルは、その一時的な快感で「何も考えなくて済む」逃げ道だったのです。
⇒心の問題にも目を向け、自分を見つめ直すことが必要です。
【視点3】社会的視点:1人ではやめられない。回復は「仲間」とともに
「これが最後」と何度思っても、一人で断ち切ることはできませんでした。僕が回復を続けられているのは、GA(ギャンブラーズ・アノニマス)という自助グループに出会えたからです。
ミーティングで話を聴き、自分の経験や気持ちを吐き出すことで、「自分だけじゃない」と感じられ、やめ続ける力がわいてきます。
さらに、12ステッププログラムを通じて、自分自身の内面と向き合う作業が、ギャンブル以外の充足を取り戻す助けになりました。
「病気」と「人間性」は別もの
自己破産し、家族を失い、自分を責め続けていた僕ですが、「あなたは病気なんですよ」と言われたとき、初めて「人間としての価値を失ったわけじゃない」と思えました。
ギャンブル依存症の回復には、病気としての理解、心のケア、仲間とのつながり。この3つの視点をバランスよく取り入れることが大切です。
相談窓口
「ギャンブルをやめたいけれど、やめられない」そう思っている人は、まず専門機関に相談しましょう。
- GA(ギャンブラーズ・アノニマス)
- 地域の依存症相談窓口(精神保健福祉センターなど)
- 依存症外来のある心療内科・精神科
- 支援団体(ギャンブル依存症問題を考える会など)
まとめ
- ギャンブル依存症は脳の疾患(医学的視点)
- 背景には生きづらさ(心理的視点)
- 回復は1人ではなく仲間とともに(社会的視点)
「もう終わりだ」と思っても、人生は必ずやり直せます。
あなたにも、きっとその力があります。

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