債務整理の選び方──任意整理・個人再生・自己破産の違い

借金問題

僕はギャンブル依存症の当事者であり、かつて借金を1000万円以上抱え、最終的に自己破産を経験しました。「二度とやらない」と何度も誓ったにもかかわらず、気づけばオンラインカジノにのめり込み、借金は雪だるま式に膨れ上がっていきました。

借金の問題は、単なるお金の問題ではありません。そこには「依存症」という病気が深く関係しています。私のように、自力での回復が難しく、追い詰められてようやく支援に繋がる方は少なくありません。

この記事では、僕自身の経験と法律的な知識、そして現在当事者の支援に携わる立場として、多くの相談を受けてきた中で感じたことを踏まえ、任意整理・個人再生・自己破産という3つの債務整理手続きについて解説します。

債務整理とは?──「借金を減らす・なくす」ための法律的な手段

借金が返せなくなってしまったとき、立ち直るための方法として「債務整理」という手段があります。

債務整理とは、借金の返済を見直す制度で、次の3つが代表的です。

              1.           任意整理

              2.           個人再生

              3.           自己破産

ギャンチュウ
ギャンチュウ

これらは決して「ズルい逃げ道」ではありません。

僕自身がそうだったように、「もう終わりだ」と感じていた人が、人生を立て直すために使う大切な手段です。

任意整理:まだ返済できる希望がある方へ

特徴とメリット

  • 裁判所を通さず、弁護士が直接貸金業者と交渉
  • 将来利息や遅延損害金をカットし、元本のみを分割返済
  • 自宅や車などの資産を手放さずに済む

僕が初めて借金の返済に困ったとき、「任意整理で何とかならないか」と考えました。収入はありましたし、何とか自力で返済しようという気持ちもありました。でも、実際にはギャンブルを続けたまま返済しようとしていたので、うまくいきませんでした。

任意整理は「返済の意思」と「安定収入」がある人向けです。ギャンブルをやめる決意がまだ固まっていない場合は、返済途中で再び借金を重ねてしまう恐れもあるので、正直な自己分析が必要です。

個人再生:借金は減らしたい、でも家や車は守りたい方へ

特徴とメリット

  • 借金を大幅にカット(最大5分の1程度)
  • 自宅など大切な資産を残せる可能性
  • 安定した収入が必要(給与・年金など)

僕自身はこの制度を使うことはありませんでしたが、仲間の中には「住宅ローンが残っていたけれど、個人再生のおかげで家を手放さずに済んだ」という方もいます。

ただし、ギャンブルが原因でできた借金は、裁判所に再生計画を認めてもらえない可能性があります。そのため、ギャンブル依存症からの回復にしっかり取り組んでいる証拠──たとえば自助グループへの参加や、治療履歴など──が重要になります。

自己破産:もうどうにもならないと感じたときの最終手段

特徴とメリット

  • 借金がすべて帳消し(免責)になる
  • 裁判所を通じた手手続きが必要
  • 一部の財産(高額な資産など)は処分される

僕は最終的に自己破産を選びました。1000万円近い借金、収入の減少、そしてギャンブルをやめられない自分──もうどうにもならないと感じたときに、弁護士さんが「自己破産しかありません」と言ってくれたとき、心からホッとしたのを覚えています。

自己破産をしたときは、「人生終わった」と感じるかもしれません。でも、私にとっては、そこが「再出発の第一歩」でした。

ギャンブル依存症での借金は本来「免責不許可事由」ですが、自助グループへの参加や治療の実績を丁寧に説明し、行動で示すことで「裁量免責」が下りました。

ギャンブルが原因でも、やり直すことはできます

「ギャンブルで作った借金は帳消しにできない」と言われることもありますが、実際には事情によって異なります。

僕のように、

              •            自助グループ(GAなど)に継続的に参加している

              •            心療内科に通院している

              •            家族や支援者のサポートを受けている

といった取り組みがあれば、裁判所も「更生の可能性あり」と判断してくれるケースが少なくありません。

債務整理の第一歩は「相談」から

債務整理を考えるなら、まずは専門家への相談が第一歩です。自助グループ(GA)に行けば、ギャンブルの借金で債務整理をした仲間からオススメの弁護士を紹介してもらえるかもしれません。

また、ギャンブル依存症当事者が支援活動を行っている団体(ギャンブル依存症問題を考える会当事者支援部など)もあります。借金だけでなく、ギャンブル依存症という病気についても理解のある支援者とつながることが、回復と再出発の近道です。

まとめ:あの頃に戻りたくない、だからこそ今できることを

私は、自己破産を経験した今、「あの頃のような生活には絶対に戻りたくない」と強く思っています。月に一度の娘との面会、支援活動を通じての誰かの力になる経験──そうした一つひとつが、私の回復の支えになっています。

債務整理は「逃げ」ではありません。自分の人生を立て直すための選択肢です。

あなたが今、借金で苦しんでいるとしても、それは終わりではありません。必要なのは、「正直になること」「助けを求めること」「手続きを始めること」です。

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